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小杉健治★はぐれ文吾人情事件帖（全３冊）★ 宝島社文庫
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「はぐれ文吾人情事件帖」 ２０１４年 ４月 文庫初版
「はぐれ文吾人情事件帖 夜を奔る」 ２０１４年 ５月 文庫２刷
「はぐれ文吾人情事件帖 雨上がりの空」２０１４年 ５月 文庫初版
定価 各巻 ６００円＋税 ３３４頁～３４４頁
＜１＞ 普段は小間物商だが、儲け話に喰らいつく小悪党・文吾。しかし、人情に厚い文吾は、悪にはなりきれない。同じ客を二度は取らないという夜鷹に手助けしたり、心中事件の黒幕を探ったり、持参金目当ての旗本を追い詰めたり、元の恩人の敵を狙ったりと儲けにならないことに駆け回る。その中で、嫌われ者の岡引との関係など人物関係が工夫され面白い。
＜２＞ 今回引き受けた仕事は、松代屋で死んだという死体を人知れず処分するということだった。事故死だというが、何か裏がありそうで、そこに強請りの種を探す。その間に自殺しそうな手代を救ったり、行き倒れしそうな父子を助けたり、盗賊と意気投合したり、用心棒を引き受けたり、中々忙しい。文吾は悪党だが、どうにも憎めない気のいい男だ。危ない仕事をして稼いだ金を、弱い者をたすけるためにつかって、いつも金に困っているのもまた愛嬌。
＜３＞ 今回は、殺し屋・辻斬り・火付けとかなりの悪が相手だが、文吾のほうはどこか憎みきれない小悪党と組んで金を稼ぐがそれも人のために使って素寒貧のことが多い。「闇鴉」大店の放蕩息子が殺される。殺したのはプロの殺し屋か？それを手配しているのは文吾にも仕事を持ってくる大黒屋なのか？「辻強盗」辻切りが頻発する。長屋の隣に住む浪人・伏見の行動もおかしい？「放火魔」放火犯を追っていたのだが、そのうちに第１編で解決していたように思っていた事件にまだ裏があったことに気が着く。ばらばらな事件のようでいてしっかり伏線が張られている。さすが推理作家という作り方。
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